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ニュース: カンボジアの2013年経済成長率は7.2% アジア開銀「しかし成長を阻むのは…」


2013-04-23

サービスセクターと製造業が経済成長を牽引

 アジア開発銀行(ADB、本部マニラ)は4月9日、「アジア経済見通し2013」を発表し、カンボジアの2013年の経済成長率を7.2%と予測した。2012年の経済成長率も7.2%と推定され、横ばいだが、14年には7.5%の成長率が見込めると予測。カンボジアの経済が引き続き堅調に成長し続けているとの見方を示した。

 カンボジアの経済成長率は、2008年には6.7%だったが、世界同時不況に見舞われた2009年には0.1%に落ち込んだ。だが回復は早く、2010年には6.0%、2011年には7.1%と上昇し、前述のように2012年以降も上昇傾向にある。

 「経済見通し」によると、カンボジアの経済成長を牽引するのは、観光業を中心としたサービスセクターと、縫製業以外の分野にも広がりつつある製造業だ。

 サービスセクターは2012年に前年比8%の伸び率を示した。なかでも観光業の成長ぶりが目立つ。2012年にカンボジアを訪れた外国人客は前年比24.4%増の360万人。それに伴い、旅行消費も前年比15.6%増で22億ドルにまで伸びた。サービスセクターは2013年も引き続7%の順調な伸びをみせると予測され、観光業の成長に伴い、交通、通信といった分野の発展も期待されている。

 また、ADBは2013年の製造業の伸び率を、2012年の9%を上回る10.5%と見ている。主要輸出品である縫製品や靴の需要が欧米で堅調であることや、付加価値の高い縫製品の製造が始まっていることに加え、自動車部品や農業製品加工など、縫製業以外の分野への外国直接投資が伸びる見込みを指摘した。

経済成長を阻む子供の栄養不良

 GDPの成長率では順調な成長を見せるカンボジアだが、ADBの「経済見通し」は今回、その成長を阻む要因を明記していて興味深い。それは、全国にはびこる子供の栄養不良だ。

 ADBによると、カンボジアの子供の約4割が栄養不良などを原因とする発育不全に陥っている。また、2005年のカンボジア政府の調査では、5歳以下の子供の28.2%が同年齢の子供の平均体重を下回っていた。この状況は、カンボジアが著しい経済成長を遂げた2010年も28.3%ほとんど変化していない。さらに身長に対して低体重だった5歳以下の子供は、2005年には8.4%だったが、2010年には10.9%で逆に増えてしまった。ADBは、5歳以下の子供の55%に貧血の症状がみられた、ともしている。

 栄養不良の原因として挙げられたのは、衛生状態の悪さ、安全な水の不足、母乳を与える母親自身の栄養不良だ。2010年の調査によると、カンボジア人家庭の半数以上(57%)にトイレがなく、生後半年未満の子供のうち26%が母乳以外のものを与えられており、44%の女性が貧血を訴えていた。

子供の栄養不良や発育不全は、もちろん深刻な社会問題なのだが、経済成長と直接関係があるようには一見思えない。だが、子供たちが近い将来、この国の産 業を支える労働力となることを考えれば、子供たちの成長はカンボジアの経済発展に多大な影響を及ぼすことが分かる。カンボジアの産業界は近年、持続的な経 済成長に欠かせない要素として「子供の健全な成長」に注目しており、これをテーマとして2012年に開かれた大規模なセミナーには、フン・セン首相も出席 した。

 実際、多くの若者を雇用する工場などの製造業の現場では、「ワーカーの健康」を福利厚生の面からだけでなく、生産性の向上にも直結する要素として重視している。

 カンボジア国内のある縫製工場を訪ねたとき、工場幹部は、ワーカーたちの栄養状態がとても気になる、と話していた。若い女性ばかりの職場なのだが、昼時 の社員食堂をのぞいたら、一尾の魚を3人で分け合って食べていた、という。また、ワーカー募集で「朝食付き」とすると人気が上がるという話や、社員食堂で は「白米はいくら食べても無料」とした工場の話も聞いた。

 数字では順調に発展を続けるカンボジア経済だが、弱点は足もとにある。ADBは、「栄養不良対策は、政策の最優先事項とされるべきである」と、指摘している。

 

ZAI 2013年4月23日

http://diamond.jp/articles/-/35082