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ニュース: 東南ア、湧き出る中間層 旺盛な消費 成長バネに


2013-04-14

昨年6月、フィリピンのマニラ首都圏に日本のカジュアル衣料品店「ユニクロ」が開業した。販売される衣料品の価格は日本とほとんど変わらず、フィリピン人にはいくぶん高い。それでも買い物客でにぎわい、売上高は世界各地の店舗の中でも上位に入る。

フィリピンとインドネシア、タイの東南アジア3カ国は2012年、そろって6%台の高成長を達成した。その原動力となったのが中間層と呼ばれる人たちの旺盛な消費意欲。その勢いは「高度成長期の日本のようだ」(東南アジアの日本企業関係者)。

 豊かさを示す1人当たり国内総生産(GDP)が3000ドル(約30万円)の大台を超えると、家電製品や自動車といった耐久消費財の売れ行きが加速するといわれる。日本は1960~70年代に1人当たりGDPが一気に3000ドルを超えて、冷蔵庫や洗濯機などが家庭に行き渡った。これが約2500ドルのフィリピンは個人消費が爆発的に増える寸前といえる。

 2億4000万人の人口を抱えるインドネシアでも中間層が台頭している。米ボストン・コンサルティング・グループは、インドネシアで家計支出(外食や余暇を除く)が月200万~500万ルピア(約2万~5万円)を中間層と定義。20年にはこれら中間層が現在の約2倍の1億1750万人に拡大するとみている。

 中間層の消費意欲がけん引する成長モデル。フィリピンやインドネシアよりも先行するのがタイだ。1人当たりGDPは6000ドル近くになっており、豊かな中間層が、高額消費を引っ張る。例えば自動車。タイでは12年の新車販売台数が143万台を超え、前年から8割も増えた。

 これとは反対に、これからフィリピンやインドネシアを追いかけるのがベトナム。所得水準はなお低いが、英調査会社ユーロモニターによると、人口に占める中間層の割合は10年の約25%から、20年には50%近くに急拡大する見通し。消費市場の予備軍といえ、東南アジア市場の層の厚さがうかがえる。

 もちろん、中間層がけん引する高成長の実現は簡単ではない。注目されるのは労務問題の行方だ。

 「6%の経済成長が続くかぎり、最低賃金を年30%引き上げるべきだ」。インドネシアでは今、労働組合が先鋭化している。自信を付けた労働者が賃金の引き上げなどを経営側に強く訴えている。所得増加は消費の活性化につながるが、企業収益と賃金のバランスが大きく崩れると、成長を阻みかねない。

 東南アジアならではの事情もある。日本とは違って、所得が増えると家政婦を雇う家庭が多く、家電の普及率は「かつての先進国に比べると、拡大のペースは緩やか」(日系電機メーカー)という。

 とはいえ、中間層の勃興はめざましい。旺盛な消費が東南アジアの高成長をけん引していくのは間違いないだろう。

日経新聞 2013/4/13

http://www.nikkei.com/article/DGKDZO53933550T10C13A4FF2000/