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外国勤務の看護師養成…中国


2015-08-08
海外の病院で働くことを希望する看護師を対象にした語学研修施設が、中国各地に開設されている。
 
 欧米や日本では収入などの勤務条件が良いうえ、レベルの高い看護技術を身につけられるため、人気になっている。
 
 北京市の南東約600キロに位置する山東省威海市の「山東国際看護師研修センター」では6月上旬、ドイツ語コースの授業が行われていた。ドイツ人講師が「グーテンターク(こんにちは)」とあいさつすると、白衣を着た中国人看護師の研修生約30人が声をそろえて後に続いた。
 
 研修が始まって約1か月。「生物学の授業は何曜日?」という講師の質問に「月曜日」と返答するなど、受け答えもできるようになってきた。
 
 病院で1年間の勤務経験がある周暁廸(しゅう・ぎょうてき)さん(24)は「発音も文法も難しいが、ドイツで働く目標があるので、苦にならない」と笑顔を見せた。
 
 中国で海外勤務を希望する看護師が増えてきたのは2000年頃から。日本などに比べ、収入が2割以下にとどまるケースがあるなど、待遇面への不満も背景にあるとみられている。中国各地で語学研修施設や大学、看護学校の専門コースの開設が相次ぎ、09年に設立された同センターでは、英語、日本語、ドイツ語の3コースに計約150人が在籍する。
 
 研修は8か月程度で、学費は4600~8800元(約9万~約17万円)。それぞれの言語で医療・看護の専門用語を習得し、病室やスーパーのレジ、駅の切符売り場などを模したスペースで会話の練習も繰り返す。于麗君(う・れいくん)・研修部長は「生活全般に支障がないように研修内容を工夫した」と説明する。
 
 これまでにセンターで研修を修了した看護師は計約1200人。日本、ドイツ、シンガポールなど計7か国に渡り、各国で試験や看護実習などを受けて、その国の看護師資格を取得した後、病院での勤務に就いている。海外の進んだ看護技術などを習得し、帰国後に指導的な立場になる人もいるという。同センターのドイツ語コースで学ぶ高維明(こう・いめい)さん(23)は、「海外で習得したことを母国の看護の発展に役立てたい」と力を込めた。(瀋陽支局 蒔田一彦、写真も)
 
人材流出に懸念
 
 経済協力開発機構(OECD)の統計によると、人口1000人あたりの看護師数は、中国では2.01人(2013年)。ドイツの12.96人(同)や日本の10.54人(12年)などを大きく下回っている。看護師の海外流出が続いていることもあり、中国では勤務条件の改善などで看護師の確保を進めるべきだとの声が強まっている。
 
2015年08月01日 05時20分 yomiuri shinbun