医療産業の海外戦略コンサルティング企業  ㈱ボーラボ

お気軽にお問い合わせください お問い合わせ 海外医療の求人・就職
海外の病院などをご紹介、まずはご登録ください。
求人フォーム

海外医療機関などご紹介
まずはご登録ください。

求人登録フォーム

ニュース

ニュース: (経済ナビゲーター)健康医療戦略


2013-08-02

■520兆円の巨大市場

 Q 安倍政権が健康・医療戦略を掲げているね。

 A いわゆるアベノミクス「3本の矢」の3本目、6月に決めた成長戦略の柱の一つだ。日本は、世界に先駆けて超高齢化という課題に直面している。それを乗り越える新たな健康医療システムをつくり、健康長寿社会を実現。そして健康や医療の技術を産業として育成して、経済発展にいかそうという考え方なんだ。システムやノウハウを輸出して、国際市場の獲得もねらう。規制緩和や予算の重点配分もして、官民一体で産業をつくっていくことを目指しているんだ。

 Q 健康と医療?そんなにお金になるのかな?

 A 世界の医療市場は2001年から10年間、年平均で8・7%成長した。10年の世界の市場規模は約520兆円にもなるんだ。十分に魅力的な市場だよね。

 Q それで安倍政権は健康・医療で何をするの?

 A 具体策はこれからだけど、戦略には、「健康寿命延伸産業」の創出▽医療分野の研究開発の司令塔機能を担う「日本版NIH」の創設▽日本の医療技術・サービスの国際展開――といった項目が盛り込まれているね。

 Q 健康寿命延伸産業、何か不思議な言葉だね?

 A 健康管理をし、病気を予防するサービスを充実させることで、単なる寿命ではなく、健康でいられる期間を延ばそうという考え方だ。例えば、最近では、自分で簡単に血圧や血糖値を測定できる機器も開発されている。これに運動や食事指導のサービスを組み合わせて、生活習慣病を予防するような新たな産業を興すんだ。病気の予防は、増え続ける医療費の抑制にもつながる。国の財政負担の軽減にもつながるね。

■司令塔、日本版NIH

 Q 戦略の柱の一つに「日本版NIH」という言葉があったね。

 A 今回の目玉の一つなんだ。医療分野の最先端の研究を、早く実用化するための「司令塔」を担うことが期待されているんだ。

 Q 「NIH」って何?

 A 米国立保健研究所の略称だよ。医療分野の研究開発の一大拠点で、がんや老化など、疾患別に27の研究所があって、約6千人の研究者がいる。予算規模も約300億ドル(約3兆円)超もあるよ。そんな組織を日本にもつくろうという話なんだ。

 Q どうして必要なの?

 A 世界的に医療の開発競争は激しくなっていて、研究費用も高騰している。お金は無限にあるわけじゃないから、研究開発の重要度に応じて配分しなくちゃいけない。大学、ベンチャー企業、製薬企業などの連携も不可欠だ。でもこれまで日本には、それを差配する政府機関がなかった。そのため世界に後れをとっている、という認識なんだ。

 例えば脚光を浴びているiPS細胞などを用いた再生医療。世界に先駆けて最先端医療として実用化されることに期待が集まっている。どういった分野に注力していくかは、今後、国が総合戦略をまとめる予定だ。

 Q 「日本版」は具体的には何をするの?

 A 縦割りで、各省庁ごとに分かれていた医療分野の研究開発予算を一つにまとめる。それを日本版NIHがまとめて管理し、研究の進み具合をチェックしながら実用化を速めていくことにしている。ただ、器だけを整えても、魂が入らないと意味がない。研究を「目利き」できる優秀な人材をどれだけ集められるかが、課題となりそうだ。

■病院を丸ごと輸出

 Q 政府は医療機器の輸出も、熱心に後押ししようとしているね。

 A 「医療技術・サービスの国際展開」の中で、そういうことを考えている。技術立国・日本は、家電やエレクトロニクス産業は伝統的に強いし、輸出産業の雄だ。でも医療機器は実は、輸入の方が多い。2011年は、輸入が約1・1兆円に対して輸出は4800億円。約6千億円の輸入超過だった。今後は輸出を増やし、外貨を稼げる産業にしたいと、政府は思っているんだ。

 Q どう実現するの?

 A ライバルも多い中、単にモノを輸出するだけじゃ市場を獲得するのは難しい。そこで「日本の病院まるごと」輸出することを考えている。新興国などは、医療の需要は高まっているのに、医師や看護師といった人材や、病院経営のノウハウが育っていないところが多いんだ。だから医療機器を保守・点検できる人材や医療従事者も含めて輸出するんだよ。政府の戦略では、20年までに、日本の病院システムを新興国を中心に10カ所ほどつくって、30年までには5兆円の市場獲得を目指すとしている。国内は人口減少が続いている。医療業界もまた、海外に進出する時代になりつつあるようだ。

 Q 政府は何をするの?

 A すでにある医療関係の社団法人を拡充して戦略の核にする考えだ。医療機器メーカーなどから人を集め、売り込みを始める。ただ、戦略全体にいえることだけど、政府が掛け声をかければ産業が創出されるというものではないよね。バラ色の絵を描くことはできるけど、それをどうやって実現するかが問われるよね。(この項は松浦祐子が担当しました)

 

朝日新聞 ■520兆円の巨大市場

 Q 安倍政権が健康・医療戦略を掲げているね。

 A いわゆるアベノミクス「3本の矢」の3本目、6月に決めた成長戦略の柱の一つだ。日本は、世界に先駆けて超高齢化という課題に直面している。それを乗り越える新たな健康医療システムをつくり、健康長寿社会を実現。そして健康や医療の技術を産業として育成して、経済発展にいかそうという考え方なんだ。システムやノウハウを輸出して、国際市場の獲得もねらう。規制緩和や予算の重点配分もして、官民一体で産業をつくっていくことを目指しているんだ。

 Q 健康と医療?そんなにお金になるのかな?

 A 世界の医療市場は2001年から10年間、年平均で8・7%成長した。10年の世界の市場規模は約520兆円にもなるんだ。十分に魅力的な市場だよね。

 Q それで安倍政権は健康・医療で何をするの?

 A 具体策はこれからだけど、戦略には、「健康寿命延伸産業」の創出▽医療分野の研究開発の司令塔機能を担う「日本版NIH」の創設▽日本の医療技術・サービスの国際展開――といった項目が盛り込まれているね。

 Q 健康寿命延伸産業、何か不思議な言葉だね?

 A 健康管理をし、病気を予防するサービスを充実させることで、単なる寿命ではなく、健康でいられる期間を延ばそうという考え方だ。例えば、最近では、自分で簡単に血圧や血糖値を測定できる機器も開発されている。これに運動や食事指導のサービスを組み合わせて、生活習慣病を予防するような新たな産業を興すんだ。病気の予防は、増え続ける医療費の抑制にもつながる。国の財政負担の軽減にもつながるね。

■司令塔、日本版NIH

 Q 戦略の柱の一つに「日本版NIH」という言葉があったね。

 A 今回の目玉の一つなんだ。医療分野の最先端の研究を、早く実用化するための「司令塔」を担うことが期待されているんだ。

 Q 「NIH」って何?

 A 米国立保健研究所の略称だよ。医療分野の研究開発の一大拠点で、がんや老化など、疾患別に27の研究所があって、約6千人の研究者がいる。予算規模も約300億ドル(約3兆円)超もあるよ。そんな組織を日本にもつくろうという話なんだ。

 Q どうして必要なの?

 A 世界的に医療の開発競争は激しくなっていて、研究費用も高騰している。お金は無限にあるわけじゃないから、研究開発の重要度に応じて配分しなくちゃいけない。大学、ベンチャー企業、製薬企業などの連携も不可欠だ。でもこれまで日本には、それを差配する政府機関がなかった。そのため世界に後れをとっている、という認識なんだ。

 例えば脚光を浴びているiPS細胞などを用いた再生医療。世界に先駆けて最先端医療として実用化されることに期待が集まっている。どういった分野に注力していくかは、今後、国が総合戦略をまとめる予定だ。

 Q 「日本版」は具体的には何をするの?

 A 縦割りで、各省庁ごとに分かれていた医療分野の研究開発予算を一つにまとめる。それを日本版NIHがまとめて管理し、研究の進み具合をチェックしながら実用化を速めていくことにしている。ただ、器だけを整えても、魂が入らないと意味がない。研究を「目利き」できる優秀な人材をどれだけ集められるかが、課題となりそうだ。

■病院を丸ごと輸出

 Q 政府は医療機器の輸出も、熱心に後押ししようとしているね。

 A 「医療技術・サービスの国際展開」の中で、そういうことを考えている。技術立国・日本は、家電やエレクトロニクス産業は伝統的に強いし、輸出産業の雄だ。でも医療機器は実は、輸入の方が多い。2011年は、輸入が約1・1兆円に対して輸出は4800億円。約6千億円の輸入超過だった。今後は輸出を増やし、外貨を稼げる産業にしたいと、政府は思っているんだ。

 Q どう実現するの?

 A ライバルも多い中、単にモノを輸出するだけじゃ市場を獲得するのは難しい。そこで「日本の病院まるごと」輸出することを考えている。新興国などは、医療の需要は高まっているのに、医師や看護師といった人材や、病院経営のノウハウが育っていないところが多いんだ。だから医療機器を保守・点検できる人材や医療従事者も含めて輸出するんだよ。政府の戦略では、20年までに、日本の病院システムを新興国を中心に10カ所ほどつくって、30年までには5兆円の市場獲得を目指すとしている。国内は人口減少が続いている。医療業界もまた、海外に進出する時代になりつつあるようだ。

 Q 政府は何をするの?

 A すでにある医療関係の社団法人を拡充して戦略の核にする考えだ。医療機器メーカーなどから人を集め、売り込みを始める。ただ、戦略全体にいえることだけど、政府が掛け声をかければ産業が創出されるというものではないよね。バラ色の絵を描くことはできるけど、それをどうやって実現するかが問われるよね。(この項は松浦祐子が担当しました)

 

朝日新聞 2013.8.2

http://www.asahi.com/business/articles/SEB201308010018.html