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ニュース: 日本の医療をまるごと輸出:偕行会、クリニック開業へ


2013-06-13

偕行会(愛知県名古屋市)は年内にもジャカルタでクリニックを開業する。インドネシアに日本の医療法人が進出するのは初めて。日本の医療産業が医療機器や医療従事者をまるごと展開する「医療の輸出」としても、同国では初のケースとなる。現地の病院とも提携し、幅広いサービスを提供していく考えだ。【山本麻紀子】

南ジャカルタで商業施設や日系企業の入居するオフィスビルが多いスナヤン地区に、外来診療専門の「さくらクリニック」を設置する。クリニックの内装や医療機器の導入には約3億円を投じる。レントゲンや胃部X線(バリウム)検査、超音波診断のための機器は、日立製作所など日本製を中心にそろえ、日本の高水準の医療技術を提供する。

在留邦人向けには主に外来診療と健康診断、インドネシア人患者向けにも糖尿病をはじめとする慢性疾患の治療サービスを提供する。医師は日本人1人、インドネシア人4人の計5人体制とする。

開業に向け、現地法人カイコウカイ・インドネシアを設立する。資本金は1億2,500万円で、偕行会が67%、パナソニック現地法人で役員などを務める地元実業家ラフマット・ゴーベル氏の経営会社が残りを出資する。出資比率はインドネシアのネガティブリスト(投資規制分野)で定められた、外国企業による医療産業への出資上限に合わせて設定した。

 

■看護師は日本就労経験者

 

看護師スタッフは、日本とインドネシアの経済連携協定(EPA)の看護師・介護福祉士受け入れ事業で派遣され、日本の医療機関で看護助手として働いた経験者を中心に採用する。

元日本兵の互助会である「福祉友の会」傘下団体のミエ学園が9月ごろから研修を担当する。ミエ学園のマリコ・スルヤント代表は、「日本での勤務経験で、日本語の医療専門用語の知識はある程度まで身についている。今後は、日本人の顧客や患者さんへの対応が円滑にできるよう、敬語や日本人的な考え方、マナーに関する知識も教えていきたい」と語った。

偕行会は2年前から、看護師国家試験に合格できずにインドネシアに帰国した人の中から、日本でもう一度受験に挑戦する7人に渡航費や滞在費用、再勉強のための支援を提供。うち1人が合格して、日本の偕行会の運営する病院に勤務している。

3年目となる今年は、来年2月の看護師国家試験に向けて再受験する元候補者を募集し、約10人の再受験を支援する。新たな試みとして、現地で4カ月ほど事前研修を施し、日本での試験勉強に向けた体制を強化していく。

 

■人工透析治療も視野

 

偕行会はクリニック運営のほか、強みとする人工透析治療にも乗り出す。地元の病院のフロアを間借りする形で人工透析の治療室を設け、病院建設などの初期費用を大幅に抑える。

現在は提携病院を探しているところ。まずジャカルタで病院1カ所当たり5床ほどの透析治療室を始め、他地域への展開の足掛かりとする考えだ。

偕行会の橋本一幸渉外部長によると、日本で人工透析患者数は約30万人に上るのに対し、インドネシアでは約2万人にすぎない。だが、治療を必要とする透析患者は潜在的に多いとみている。

インドネシア開設準備室の川原岳志室長は、来年には現地で全国民を対象にした社会保障制度が導入される計画に加え、「経済成長に伴い、糖尿病などの慢性疾患患者は今後さらに増えることが予想される」と指摘。医療サービスへのニーズが高まるとみて、進出を決めたと明らかにした。

偕行会は、経済産業省の支援を受け、昨年7月から半年間、日本の私立病院による海外進出に関する事業化調査を実施。同省は、成長戦略の柱とみる医療分野で企業の海外展開を後押ししており、日本の医療機器とサービスが一体となった海外展開調査事業で、2012年度は全世界で偕行会を含む17件を公募採択していた。

 

NNA 2013年6月13日

http://news.nna.jp/cgi-bin/asia/asia_top_nocashe.cgi?flnm=20130613idr002A&id=&date=&term=&site=&seqno=