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ニュース: ロシアで先端がん治療 官民の医療輸出戦略第1弾


2013-05-27

政府は民間企業と組み、2015年にも最先端のがん治療施設を備えた病院をモスクワ市内に建設する。住友重機械工業が開発した最新鋭の放射線治療設備を導入し、海外で初めての臨床試験を始める。日本から医師も派遣する計画だ。機器や人材を丸ごと輸出し、世界に日本発の医療技術を広げる。4月に官民一体で始めた医療輸出戦略の第1弾となる。

 安倍晋三首相が28日から訪ロするのに合わせ、政府や住友重が30日、病院建設の計画をロシア側に表明する。病院の運営は産学官で23日に立ち上げた組織である「メディカルエクセレンスジャパン」(MEJ)が担う。

 MEJは政府が音頭をとり、東芝、ソニー、NECなど医療機器を手がけるメーカー23社が参加して発足。政府は医療機器やサービスを海外に売り込む中核組織と位置づける。今回が具体的に手がける初めての海外案件となる。

 ロシアと共同で新病院「日ロ先端医療センター」(仮称)をつくり、新鋭の「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」の装置を納入する。BNCTは正常な細胞にダメージを与えずにがん細胞だけを攻撃でき、転移・再発したがんに有効な治療法とされる。国内では、住友重が14年から福島県の総合南東北病院(郡山市)で臨床試験を始める。

 住友重はロシアでも臨床試験を申請する計画だ。治療費は1人当たり300万円程度と想定。モスクワでは富裕層の間で高額医療への需要が強いとされる。住友重などはロシアで実用化の道が開ければ、欧米諸国などへの輸出に弾みがつくとみている。BNCTの研究開発は日本が先行しており、日立製作所なども進めている。政府は先端医療で優位な地位をつかむ試金石ととらえる。

 モスクワでの用地取得はロシア側が担う。病院や施設の建設費は総額で100億円程度となる見通し。国際協力銀行(JBIC)が融資を検討しているほか、現地でも資本を募る。住友重は新病院に陽子線がん治療装置も導入する。

 病院建設に先立ち、MEJは国立がん研究センター中央病院(東京・中央)など57の連携病院でロシア人患者を受け入れる。国内での治療実績が増えれば、海外でも信頼性が高まる。外国人向けの治療や先端技術に対応できる医師を養成し、海外に派遣する。

 安倍首相は6月にまとめる成長戦略で女性の活躍とともに医療を中核に据える。医薬品や医療機器の分野では日本から海外への輸出よりも海外からの輸入が圧倒的に多く、2つを合計した医療分野の貿易収支は11年に2兆9703億円の赤字となった。医療輸出のテコ入れは、日本企業の国際競争力を高めるうえでもカギを握る。

 

 新興国向けの医療機器の輸出や病院事業の展開では、欧米が先行している。政府はロシアに続いて中東、東南アジアに対しても病院、医療機器、人材をパッケージにした輸出を急ぐ。

 

日経新聞 2013/4/28

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF2700I_X20C13A4MM8000/