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新興国で製薬、官民連携 市場開拓へ新会社 まずタイやベトナムなど


2017-05-13

 政府と民間企業が連携し新興国の医薬品市場を開拓する。新興国で薬の製造から流通まで担う新会社を官民出資で設立。政府が現地で法律や制度づくりを助け、ビジネスとの相乗効果を狙う。第1弾として2019年度にもタイやベトナムなどアジア諸国で始める計画だ。欧米の製薬業界は成長する新興国市場で攻勢を強めており、日本は官民連携で巻き返す。

 

 

 政府の健康・医療戦略室が5月中に構想をまとめ、厚生労働省や経済産業省など関係省庁と具体化を急ぐ。原案では新会社は「国際医薬協力推進機構」。政府は複数の大手・中堅の製薬・バイオ医薬品の企業と出資を募る調整を始めた。合計の出資額は数十億円から数百億円で、産業革新機構などの政府系ファンドの出資も検討する。

 

 アジアやアフリカの新興国では自国の製薬企業が育たず、輸入に頼り、薬の製造や流通の仕組みが不十分だ。海外企業が単独で製造・流通を手掛けるのはリスクが高いため、例が少ない。官民の新会社は複数の日本企業が共同で製薬工場を建設・管理し、流通でも連携する。製造ラインを各社で共有することで、稼働率を高く維持しリスクを低減する。物流会社にも参加を促す。

 

 政府は新会社を支援するための一般社団法人「国際医薬協力機構」を年内に設立する。新興国の政府に対し、薬事制度の整備や、基礎研究や臨床試験(治験)の仕組みの構築を支援する。薬事制度が整っていないことが、日本企業の現地進出を阻害する要因になっており、日本政府が支援する。

 

 政府は資金面や研究開発でも新会社を支援する。国際協力機構(JICA)から海外投融資をするほか、官民基金の「グローバルヘルス技術振興基金(GHITファンド)」の研究開発の成果を生かせるようにする。

 

 第1弾にはタイやベトナム、カンボジアなどアジア諸国が浮上している。タイやベトナムでは過去、日本で流行した住血吸虫症という感染症に苦しむ。アジアに次ぐ候補地域になるアフリカでは結核やマラリアなどが流行っている。

 

 「日本では需要が落ちている薬でも後発薬として新興国で需要が大きい」(健康・医療戦略室)。タイやベトナムでは既に富士製薬工業など一部の日本企業の工場がある。既存の工場を共有して、後発薬の製造から始める可能性がある。

 

 アジアでは経済成長にともなって医薬品の市場規模が年10%以上のペースで伸びている国が多い。一方、医薬品の輸出は欧米の大手製薬企業や韓国のバイオ医薬品企業、インドの後発薬企業との競争が激しい。日本は単なる輸出だけでなく、制度の整備や工場建設などを通じた現地政府との関係構築を通じて、海外勢に対抗する。

2017/5/9 日本経済新聞