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アフリカ目指す印病院 中間層の医療ツーリズム需要取り込み


2016-12-22

今年ムンバイ証券取引所(BSE)に上場したインドのナラヤナ・フルダラヤ病院は、民間投資ファンド、アフリカ・ヘルス・ファンドと世界銀行グループの国際金融公社(IFC)の支援を受け、ケニアの投資家と共同で来年1月に首都ナイロビに病床数130の心臓病専門病院の開設を計画している。インドのグルガオンに拠点を置くメダンタ病院も、ケニアに病床数200の施設を建設しようとしている。

 ナイロビでIFCのヘルスケア投資チームを率いるビジュ・モハンダス氏は「インドの病院グループはアフリカにかなり多くの患者がいることに目を付けた。これらの企業は、インドでも成長を続けながらアフリカにいち早く足掛かりを獲得し、成長の波に乗ることを望んでいる」と指摘する。

 アフリカ大陸では資産の増加に伴い、民間医療の需要が拡大している。IFCが約210億ドル(約2兆4800億円)相当と推定するサハラ以南のアフリカの民間医療市場は、今後10年間で2倍に拡大する見通しだ。

 調査会社フロスト&サリバンのアナリスト、アディティ・バラ氏(チェンナイ在勤)は「アフリカの中間層は購買力の増加により民間の市場参加者が提供する医療サービスに支払う金銭的余裕ができた」と指摘する。アフリカ開発銀行によれば、1日の消費額が2~20ドル相当の中間層が人口に占める割合は、2000年の27%から約34%に拡大した。

 ケニアの投資家とRJグループ(デリー)による合弁事業、メダンタ・アフリケアのマイニ最高経営責任者(CEO)によれば、東アフリカ進出を目指すインドの病院グループは、アフリカの民間病院よりも割安なサービスに加え、がん治療などの専門医療の提供も目指している。

 多くのアフリカ人は設備が不十分な公立の病院で治療を受けている。しかしその多くはより質の高い民間医療を受けるため、家族の土地を売却したり資金を調達する用意がある。マイニ氏は「ケニアでは腫瘍科など専門医療サービスには大きな品質の差があるため、大部分のケニア人はインドに向かっている」と説明する。モハンダス氏によれば、ナイロビの大手の民間病院での心臓切開手術の費用は最大1万5000ドルに上る。これに対し、ナラヤナでの手術費用はわずか2000ドルだ。

 インドを訪れる年間約4000人の医療ツーリストのうち、アフリカ出身者は4割に上る。世銀の「アフリカ保健イニシアチブ」の責任者、カーマ・ロゴ氏によれば、インドの医療サービスに昨年東アフリカ諸国が使った金額は約10億ドルに達した。

 アフリカ諸国は植民地時代に作られた富裕層向けの医療システムをいまだに改革できないでいる。ロゴ氏は患者の数を増やし治療コストを抑えるインド医療の収益モデルについて、「これこそアフリカにとって必要な事業モデルだ。インドにはアフリカと同じくらい多くの貧しい人々がいるということに気づいたアフリカの人々は飛行機でインドに向かい、この事業モデルを強化している」と述べた。

安いサービス困難

 ただ、インド企業はアフリカでの事業効率は改善できても、インドと同等の低価格な医療サービスをアフリカ諸国で再現するのは困難になるとみられる。インドの医療は、熟練した低賃金労働力や割安な医薬品・医療機器に支えられているからだ。モハンダス氏は「アフリカでインド並みに安いサービスを再現するのは現実的ではない。現地の相場に合わせる必要がある」との見方を示した。(ブルームバーグ Helen Nyambura-Mwaura、Samuel Gebre)

 

http://www.sankeibiz.jp/macro/amp/161217/mcb1612170609005-a.htm#i-D6A1B458-55BE-418C-BF92-A82C5ECB99EF