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ニュース:「ASEAN経済共同体」15年末発足-10カ国加盟、人口6億人の巨大な市場に商機
2015-01-15
タイやインドネシアなど東南アジアの10カ国が加盟する東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体が、2015年末に発足する。当初の1月1日から12月31日へと約1年間、実現は遅れたものの、域内の関税撤廃などで“一つの市場”に向けた準備は着々と進む。人口6億人と、欧州連合(EU、約5億人)を上回る巨大市場の誕生は、日本の自動車や素材をはじめとした企業の生産・販売戦略に影響を与えそうだ。
「ASEAN経済共同体(AEC)の発足で何が変わるのか、わかりにくい」―。これはAECについて抱く大方の感想だ。
ASEANは10カ国で合意したことが国内法より優先されることはなく、極めてゆるやかな統合にとどまる。今のところ通貨統合の話もなく、“ASEANウェイ”と呼ばれる南国独特の、のんびりとした曖昧さを併せ持った市場統合となる。
とはいえ、共同体発足で「モノ、サービス、人、投資・資本のより自由な移動」が可能になる。中でも「最大の成果は関税撤廃」(石川幸一亜細亜大学教授)と言われ、域内貿易が従来よりも自由に行えるようになる。
タイやシンガポールなど先行してASEANに加盟した6カ国は、総品目数の99・2%(13年)の関税を撤廃。焦点はまだ関税撤廃を実現していないベトナムやミャンマーなど後発ASEAN4カ国の動きだ。撤廃率は72・6%(同)にとどまり、特別措置として18年まで高いレベルの関税撤廃を猶予されている。例えばベトナムで13年に完成車に対し60%の関税がかかっており、これを18年までに0%に引き下げるのが目標だ。
加えて、今後、注目されるのはサービスの自由化だ。一般的に多くの国がサービス業には規制を設けており、タイの場合で飲食物の販売は50%以上の外資出資が規制されている。これに対し、共同体では15年末までに金融サービスなど一部を除き、“ASEAN投資家”に対してはサービス業の70%までの外資出資を容認する方針だ。
日刊工業新聞 2015年01月06日
http://www.nikkan.co.jp/news/nkx1520150106afaa.html