医療産業の海外戦略コンサルティング企業  ㈱ボーラボ

お気軽にお問い合わせください お問い合わせ 海外医療の求人・就職
海外の病院などをご紹介、まずはご登録ください。
求人フォーム

海外医療機関などご紹介
まずはご登録ください。

求人登録フォーム

ニュース

三菱商事、アジアに病院 高度医療輸出、まずフィリピン 建設・運営指導・機器まで


2014-12-01

 三菱商事はアジアで病院事業を始める。まずフィリピンで、2015年から20年までに10カ所の医療施設を建設する。総事業費は300億円を見込み、国際協力機構(JICA)も融資で支援する。日本企業主導で先端医療機器を備えた病院を建設し、運営も指導。大きく伸びるアジアの医療市場(総合2面きょうのことば)を官民で開拓する。国が成長戦略と位置付ける高度医療技術の輸出拡大につながりそうだ。

 世界保健機関(WHO)によればアジアの12年の医療費は1兆3千億ドル(約130兆円)で、5年前と比べて92%増えた。富裕層だけでなく、高度な医療サービスを求める中間層の成長が見込まれ、近い将来に1兆5千億ドル(約150兆円)に達するとの見方が強い。

 市場の拡大を受けて、東芝など日本企業がコンピューター断層撮影装置(CT)といった医療機器を売り込んできたが、これまでは単品の営業にとどまっていた。一方、病院経営で運営だけを担うケースが多かった。三菱商事は病院の建設から運営指導、機器の納入まで一貫で手掛ける。

 三菱商事は現地財閥系の病院グループと医療機関を建設・保有する特別目的会社(SPC)の設立交渉を進めている。JICAから受託して病院の開設候補地の需要調査などを実施し、15年から順次着工する見通し。

 マニラやセブ島などで、ベッド数が50~150の中規模病院を開設する。病院の経営は現地グループに委ね、施設や医療機器をリースする。JICAは総事業費の最大7割を融資する計画だ。

 三菱商事は日本で10カ所以上の病院の設計などをしてきた。医師や看護師が効率よく活動できる建物や機器の配置など、培ったノウハウをフィリピンに持ち込む。

 建設に加えて運営も指導する。日本から指導役として医師らを派遣し、最新技術を生かした手術の手法や患者の身体的負担が少ない看護法などを伝える。

 フィリピンで実績を積み、他の東南アジア諸国への進出を検討する。

 政府は昨年まとめた成長戦略で、20年に医療技術・サービスの輸出を現状の3倍に当たる1.5兆円とする目標を掲げている。これまで安倍晋三首相が訪問したロシアなどには、放射線治療装置といった機器の輸出計画が進んでいる。

 

 日本企業の病院運営では、三井物産がマレーシアに本拠を置くアジア最大規模の医療グループに出資。セコムは豊田通商などと組んでインドのバンガロールに病院をこのほど開設した。三菱商事は日本の運営ノウハウを取り入れ、自ら多くの病院を整備する。日本企業は多様な手法でアジア市場の開拓に力を入れる。

日経新聞 2014/5/21