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医療教育を一括輸出 政府、ブータンの医大新設支援
2014-12-01
政府は海外での医療教育支援を本格的に始める。2014年度中にブータンが設置する総合医科大学と付属病院に、政府開発援助(ODA)を使って資金を拠出する。日本式医療の技術力には海外からの関心も高く、関連企業による機器輸出は進んでいるが、医療教育を支援するのは初めて。人材育成から後押しし、国全体の医療のレベルを底上げするモデルケースとする。
14年度中にブータン政府が総合医科大学と付属病院の一部を開設し、順次拡大していく計画だ。日本から医師や看護師らを派遣し、ブータン政府の保健省職員や国立病院の医師・看護師らに大学で授業し、付属病院で研修する。放射線治療などに必要な技師も育成する。日本政府の拠出総額は数百億円に達する見通し。
内視鏡手術など高度な技術に関しては、日本への留学制度を整えて教育する方針だ。整形外科や内科など需要が多く、習得しやすい医療技術の教育を優先する。インターネットなどを利用した遠隔教育の体制も整え、将来は全科を網羅できるようにする。
ブータンなど南アジアでは医師ら医療従事者の数も少なく、医療技術を高くすることが課題だった。人材から機器まで日本式医療を一括で輸出することで、国全体で一定の水準の医療をつくり上げるモデルケースとする。将来はミャンマーやラオスなど、成長が続く東南アジア諸国連合(ASEAN)などへの拡大を想定している。
日経新聞 2014/8/12