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中国で人工知能ロボットが医師国家試験に合格! 初期診断にAIを取り入れる計画とは?


2018-07-09

しばしば人間から職を奪うというイメージがつきまとう「人工知能」。医療業界もその例外ではなく、人工知能を導入する「AI医療」の研究が世界的に進んでいます。ただし、現在のところは、まだまだ人間の医師を凌駕するものではないようです。

今回は、話題となった中国のニュースや韓国の事例から、アジアにおけるAI医療の現状を探ります。

 

 

 

中国で人工知能が医師国家試験に合格

今回日本でも話題になっているAIロボットは、中国の代表格ともいえるAIメーカーiFlytekが開発したものです。ロボットが受験したのは中国で医師国家資格の取得に必要な筆記試験で、試験結果は合格ラインを96点も上回る456点でした。

この結果から、人工知能の医療に関する知識量と検索力が高いことは確かだと言えます。たとえ人間のような対人スキルに欠けているとしても、医療現場で何らかの有用性はあると考えられるでしょう。

2017年7月、中国政府は「2030年までに1兆元規模のAI主要産業を育てる」という内容を含んだ国家計画を発表しています。今回話題となっている開発会社は2018年3月にロボットの公式発表を予定していますが、他にも中国では多数の企業がAI開発に取り組んでいるようです。同社が開発したAIベースのユーザーインターフェースプラットフォームを活用する外部開発者だけでも、なんと46万人にのぼるといいます。

あくまで人間の医師を補佐するロボット医師

医療業界に参入するためのAI開発が進む中国では、農村地域での医師不足が深刻な問題となっています。遠方の病院まで時間とお金をかけて受診しに行くとなると一般の人々にとってはなかなか敷居が高く、手遅れともなりかねない状況です。そこで、人工知能による初期診断だけでも各地で実施することができれば、病院での治療が必要な患者さんを的確に見つける手助けになると考えられます。

ただし、筆記試験では人間に比肩する人工知能も、医師に代わる能力を持っているわけではありません。AI開発会社もこれを認めており、あくまで「人間と機械間の協力を促し、効率を高める方向に注力する」という姿勢を明確にしています。

また、大きな病院においても、人工知能の導入が役立つ可能性があるようです。外来に長蛇の列を作る患者さんたちの問診情報をAIが収集・分析し、初期診断を行うことができれば、医師による診療の効率を高めることができるかもしれません。

韓国でも進むAI医療と問題点

中国でのAI開発が注目されるなか、医療現場へのAI導入に積極的な韓国では、すでにいくつかの疑問や問題点が浮上しています。

「患者さんに『人工知能は決して診断を誤らない』と誤解されるのでは」という懸念もそのひとつです。実際には、人工知能が患者さんにとって最適な治療法を提示する精度は完璧と言うには程遠く、疾患によってもかなりばらつきがあることを示す米国での成績報告もあります。

また、責任の所在も問題です。医療機器が誤作動を起こした場合はメーカーがまずその責任を負うのに対し、情報分析をおこなう人工知能が医師と異なる結論を出したとしても「機械の故障」とは異なります。誤診や病状の悪化など、責任はAIの判断を採用した医師が取らなくてはいけないのが現状です。

さらに、IBM社の「ワトソン・フォー・オンコロジー」など、米国で開発されたAIを導入する場合はデータベースがアメリカ人患者の事例を中心とした情報となるため、「韓国人には当てはまらないケースも少なくないのではないか」とも考えられています。

AI技術については、まだまだあらゆる面での進歩が必要です。しかし、協力や分担など、人間の医師が効率よく仕事をするための人工知能の活用については、有益であると考える国が今後も増えるかもしれません。

 

出所:DtoDコンシェルジュ

URL:https://www.dtod.ne.jp/forefront/article28.php