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世界初、医療ビッグデータ活用に関する国際協力―日タイ包括研究協定
2018-06-26
国立国際医療研究センター国際協力局のグローバルヘルス政策研究センター(iGHP)とタイ国民医療保障機構(NHSO)は6月18日、日タイ共同研究に関する包括研究協定に調印した。
包括研究のテーマは「糖尿病」「喘息」、そして「保険医療財政」の3本柱。この中でiGHPは主にタイの糖尿病と喘息の患者に関するビッグデータの分析と研究を担う。タイは、2002年に国民皆保険を達成しており、人口の約75%にあたる保険加入者約4700万人のデータを保有しているが、人材不足により保険の運営や政策提言へのデータの活用がなされていない。
タイ国民医療保障機構副機構長のジャデージ・タマタッチアリー氏は今回の協定を「この調印式は日タイでの取り組みの重要な第一歩であり、世界的課題であるユニバサルヘルスカバレッジを考えるうえでも重要」と説明。iGHP研究科長の宮田裕章氏(慶応義塾大学教授)は、「タイでは、保健医療データがすべて同一のIDで管理されており、様々なデータソースを紐づけて分析することが可能であり、世界的に見ても高い価値を持つ。日タイの医療ビッグデータを活用した共同研究は世界でも初の試みである」と述べた。
宮田氏によると、今回の研究テーマの「糖尿病」「喘息」について、重症患者のデータだけではなく治療が始まった段階からのデータがあり、そのため、病気になる前のサポートについて検討ができるようになるという。「日本の高齢化を考えるうえでも非常に重要な知見が得られる可能性がある」と強調した。
iGHPは、2017年よりタイの医療ビッグデータを活用した研究をタイのNHSOと共に進めている。本研究は、2016年に国際協力機構(JICA)が日本とタイ両国政府の協力のもと行った「ユニバーサルヘルスとユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)のためのパートナーシッププロジェクト」を基盤としている。