医療産業の海外戦略コンサルティング企業  ㈱ボーラボ

お気軽にお問い合わせください お問い合わせ 海外医療の求人・就職
海外の病院などをご紹介、まずはご登録ください。
求人フォーム

海外医療機関などご紹介
まずはご登録ください。

求人登録フォーム

ニュース

 医療ツーリズム呼ぶ りんくうタウン拠点構想 /大阪


2016-01-04

日本を訪れる外国人が急増している。2015年は「爆買い」やホテル不足も話題になった。大阪でも関西国際空港の外国旅客数が14年度は約699万人と過去最高を更新し、15年度は1000万人を超えそうだ。この勢いを好機ととらえ地域の活性化につなげようという試みが府内各地で始まっている。【山田毅、米山淳】

 関西国際空港の対岸に広がるりんくうタウン。府と泉佐野市が中心になってこのエリアを国際医療拠点とする構想が進んでいる。核となるがん治療施設は6月末に完成、10月に開業する予定だ。日本の高度医療を売りにして外国人の「医療ツーリズム」を呼び込む中心施設として期待が集まっている。

 がん治療施設はもともとは府有地の約6300平方メートルにあり、5階建て延べ床面積約4600平方メートル。土地はロート製薬が府から9億3000万円で購入。施設はロート製薬と、がん治療専門の「ゲートタワーIGTクリニック」(泉佐野市)が建設し、完成後は同クリニックが移転してくる。がんに併発する病気に対処するため、皮膚科や歯科なども入る予定で、将来的には患者の家族向けの宿泊所も併設する計画だ。

 りんくうタウンは2011年、空の玄関口という立地条件などから、医療ツーリズムに着目した国の地域活性化総合特区に指定された。がん治療施設は、国が建設費の利子を一部補助し、府も総額約1億7000万円の補助金を出す。

 「医療ツーリズムを呼び込むなら、日本が世界一の治療分野があることが大事」。医療ツーリズムはタイやシンガポールでも国を挙げて進めているだけに、クリニックの堀信一院長(66)はこう力説する。

 クリニックは、がん細胞近くの動脈にカテーテルを通して抗がん剤を投入後、周辺の血流を局所的に止めてがんを攻撃する治療を専門としている。少量の抗がん剤で効果が期待でき、副作用も少ないとされ、日本が世界をリードする分野だ。クリニックの年間症例数は日本有数の約1000件に上る。

 海外からの患者は2年前は2〜3カ月に1人程度だったが、最近は月3〜5人と増え始めている。先月初旬にも北京から患者がやってきた。

 建設中のがん治療施設では、海外の医師を研修で定期的に受け入れることも計画している。堀院長は「外国の医療技術との交流につながるうえに、受け入れるには世界一であり続けなければならず、国内でも切磋琢磨(せっさたくま)するようになる。長期的に見ても国際医療拠点を造ることは有益だ」と話す。

 一方で課題も挙げる。日本は医療ツーリズムの整備への関心がまだまだ低いという。堀院長は「世界一を維持するのは設備も人材も金もいる。本気で海外に対抗するなら、例えば関西財界で資金を集めて投資するなど、戦略的な取り組みが必要だ」と訴えている。

 

http://mainichi.jp/articles/20160101/ddl/k27/040/222000c