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ミャンマー、貿易業の外資規制を緩和 農業、医療分野で輸入解禁
2015-12-22
ミャンマーは、貿易業の外資規制を緩和した。同国はこれまで、外資企業による貿易業への参入を禁じていたが、地場企業との提携を条件に貿易業としての登記が認められる。商業省によると、農業と医療健康分野の一部の輸入ビジネスが緩和の対象だ。現地紙ミャンマー・タイムズが報じた。
新たに外資が関わることが認められた輸入品目は、肥料、種子の一部、殺虫剤、病院用医療機器など。同省の幹部は、将来的にはさらに多くの品目の開放も視野に入れているとし、「省規定では地場と外資の出資比率は特に定めていない。まず貿易業としてミャンマーで登記してもらうのが重要だ」と述べた。
新たに貿易業への参入を希望する企業は、まず同国の投資企業管理局(DICA)に登記申請を行う。登記完了後に商業省に貿易業の免許を申請し、承認後に免許が交付される。
ミャンマー商工会議所連盟の幹部は、商業省の新規定が同国と世界貿易機関(WTO)との合意にもとづくものだとの考えを示した。ミャンマーは、1995年にWTOに加盟したものの、加盟の合意内容を実行に移しはじめたのは昨年からだという。
ただ、同国内では現在、企業の登記をめぐる混乱も生じている。DICAは昨年9月から脱税目的のペーパーカンパニーや操業を停止している企業の抹消を目的に登記の整理を進めており、登記企業に書類での報告を求め、報告のない企業は登記を取り消すとしている。
ところが、今年11月に発表された書類提出がなかった抹消候補企業の一覧には2万社が記載され、英蘭ユニリーバ、米ヒルトン・グループ、インドのタタ・インターナショナルなど外資関連企業や、地場大手企業の関連企業の社名が数多く並んで混乱が広がった。こうした企業の多くが期限内に書類を提出したと主張しており、当局への不信感を募らせているもようだ。
ミャンマーは軍政期に立ち遅れた経済成長を加速させるため、外国からの投資の誘致に注力している。誘致を成功に導くには、規制緩和と並行して制度面や行政面などで投資家の信頼を得られる受け入れ環境の構築を急ぐ必要もありそうだ。(シンガポール支局)