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コスト増で医療観光に陰り、近隣国の追い上げも
2015-11-11
シンガポール
医療目的でシンガポールを訪問する外国人が減少傾向にある。治療費の上昇と域内病院の追い上げが原因だ。
オブザーバーによると、インドネシア、マレーシア、ブルネイなど、これまでシンガポール医療業者の得意先だった国からの患者が減少している。ミャンマーやバングラデシュなど新市場から患者が来るようになっているが、減少分を補うほどではない。一部の域内通貨に対するSドル高もコスト増の要因だ。
BMIリサーチによれば、心臓(冠動脈)バイパス手術の料金は、シンガポールがタイより41%、マレーシアより106%高い。
経営コンサルタント、オリバー・ワイマンによれば、合併症などがあった場合、医療費は増える可能性があり、宿泊費も高いことからシンガポールを敬遠する動きが広まった。
マレーシアやインドネシアの病院は、かつては医療サービス能力が不足し、患者の信頼も低かったが、最近は設備、診療能力とも向上している。
国際的医療評価機関で、病院認定専門のジョイント・コミッション・インターナショナル(JCI、本部シカゴ)の認定を受けた病院はタイが18、マレーシアが8を数える。
2012年のシンガポールの医療観光収入は約11億Sドル(約952億円)で、翌年は25%減の7億7,700万Sドル(約672億円)。2013年にマレーシアで治療を受けた外国人は77万人。