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ニュース:インドネシア、国民皆保険へ始動 新機関に事業集約


2013-12-31

ジャカルタ=渡辺禎央】約2億4千万人の人口を抱えるインドネシアが、「国民皆保険」の実現に向けて動き始める。現在は業種や所得層によって別々の公的機関が手がける健康保険サービスを、2014年1月から新機関に集約。19年までに全国民の加入を目指す。内外の製薬・医療企業は、世界最大級となる保険医療市場の誕生をにらんで投資拡大に動く。ただ、保険サービスの集約には混乱も予想される。

 政府は1月1日、国家社会保障制度の実施機関「BPJS」を新設する。会社員や公務員、低所得層、軍・警察など健康保険を一元的に管理。19年までに外国人も含め全国民に義務化する計画だ。

 保険料はおおむね基本月給の5%前後で本人と雇用主が分担するが、貧困層の保険料は政府が負担する。当面、保険の対象は診察や処方薬、出産、入院費の補助などに限定する見通し。

 インドネシアは中間層が拡大しており、「皆保険」の流れが医療ビジネスの成長を後押しする公算が大きい。米調査会社フロスト・アンド・サリバンは、同国の医療市場が12~18年に年率15%のペースで成長すると予測。18年には606億ドル(約6兆3700億円)に達する見込みだ。

 後発薬や医療用具を手がける地元国営キミア・ファルマは14年、工場増設などに100億円超を投じる見通し。独大手フレゼニウスも後発薬や輸液の製造でインドネシアへの参入を決め、15年までに量産体制を整える。

 日本の官民も医療技術・機器の輸出で攻勢に出ている。経済産業省や医療機器メーカーなどが連携し、地元の大手国営病院と消化器・肝臓病の治療センターを共同で立ち上げるため協力する事例もある。

 ただ、企業や労働者には、新設するBPJSへの異論が根強い。ユドヨノ大統領も「画期的な改革だが改善の余地も大きい」と認める。

 中間富裕層の多くは民間保険に加入済みで、保険料支払いが重複することに反発する。低所得層も大衆薬や伝統療法で満足する人が多く、保険料を給料から天引きすることに不満が強い。インドネシアは病院や医師が不足しており、医療現場の混乱やサービスの質の低下も想定される。

 
2013年12月31日
日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2901F_Q3A231C1FF1000/