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ニュース: 医療費、高齢者に負担増求める 政府の国民会議


2013-08-02

 政府の社会保障制度改革国民会議は2日、高齢者にも応分の負担増を求める最終報告書案をまとめた。医療では70~74歳の患者の窓口負担を1割に抑える特例を廃止。介護では症状が軽い高齢者を保険給付の対象から外す案も盛り込んだ。若い世代にツケを回して高齢者向け給付を維持する仕組みを改める狙い。ただ負担増の実施時期は曖昧さが目立つ。財政悪化の尻ぬぐいを大企業とその従業員に強いる構図も一段と強まっている。

 最終報告書は細部を詰めたうえで、6日にも国民会議の清家篤会長(慶応義塾長)が安倍晋三首相に提出する。

 先行するのは財政負担が重い医療分野だ。医療費の窓口負担は、70歳未満が3割。70~74歳の高齢者は本来2割だが、歴代政権が特例措置で1割に抑えてきた。最終案は「世代間の公平を図る観点から止めるべき」とし、早期の政治判断を要請。政府も2014年度からの特例廃止を視野に入れる。反発を和らげるため、新たに70歳になる人から負担増の対象とし、既に70歳以上の人の負担は変えない方針も打ち出した。

 医療では軽い病気でも高度な設備を備える大病院を利用する患者が多く、給付費がかさんでいる。最終案は、紹介状がない大病院での外来受診には「一定の定額自己負担を求めるような仕組みを検討すべき」とした。

 介護でも、現行1割の自己負担を、所得の多い高齢者については「引き上げるべき」と明記。15年度からの引き上げを視野に入れる。食事などの世話だけが必要な人は、税金を投入する介護保険の給付対象から外し、ボランティアなどを活用し低コストで運営する「地域包括推進事業(仮称)」に段階的に移すとした。

 

 年金では、公的年金控除などの税制優遇について「見直しを行っていくべき」と指摘。一方、支給開始年齢の引き上げは「中長期的課題として考える」とするにとどめた。

 医療や介護、年金などの社会保障は、税金や保険料による給付費が支える。給付費は20年間で倍増し100兆円を突破。国の一般歳出に占める社会保障関係費の割合は5割を超す。社会保障費増に対応するため消費税も現行の5%から10%まで段階的に引き上げる予定だが、これでも給付の伸びに追いつかない。

 報告書の最終案は、給付費をまかなう保険制度見直しも打ち出した。低所得者が多く加入する国民健康保険の運営を、現行の市町村から都道府県へ移し、財政基盤を強化する。

 高齢者の負担増に加え、現役世代の所得に応じ負担を求める「総報酬割」の拡大も盛り込んだ。医療では、75歳以上の給付費について15年度から総報酬割を全面導入し、所得の多い大企業の健康保険組合の負担を増やす。介護でも医療での導入の状況を踏まえつつ「検討すべき」とした。

 

 総報酬割では大企業健保の負担増と引き換えに、中小主体の全国健康保険協会(協会けんぽ)の負担は減少。協会けんぽへの国費補助も不要になるが、浮いた国費を国民健康保険の赤字解消に使うかで意見が分かれたままだ。

 

日経新聞 2013.8.2

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS02012_S3A800C1MM0000/