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ニュース: iPS医療、2年で承認 治療・創薬の安全基準統一


2013-07-13

iPS細胞を用いた再生医療や創薬の実用化に向け、官民による開発や環境整備の動きが加速してきた。政府は再生医療と創薬で異なっていた安全基準を統一し、開発期間を最短2年と今よりも3分の1に短くする。武田薬品工業など35社・団体はiPS細胞の創薬に関する基礎試験データを共有し、実用化までの期間を短くする。

 日本はiPS細胞の研究で先行しており、世界に先駆けて開発を急ぐ。再生医療は医療産業の競争力強化の中核で企業の参入が相次ぐ見通しだ。昨年ノーベル賞を受賞した山中伸弥京都大学教授が開発したiPS細胞は心臓や肝臓など体の様々な組織に育つ性質を持つ。がんや難病治療への応用が期待されている。

 経済産業省、厚生労働省、文部科学省は10日、iPS細胞をつくる際の安全基準を定めるための産官学による初会合を開いた。今秋までに基準の原案をつくり、2014年中には施行する。

 これまでは医師法が細胞の移植など再生医療の安全基準を定める一方、薬事法が製薬の基準を定めていたが、基準の一部を統一する。

 iPS細胞は再生医療と製薬の双方で実用化される可能性がある。細胞の培養などの安全基準が違うと「開発が二度手間になるおそれがあった」(経産省)ためだ。基準そのものも簡素にすることで、治療法の開発から承認にかかる期間を7年から2年に短縮できるという。

 政府はiPS細胞を用いた治療法の開発にかかわる安全基準を世界標準とすることもめざす。国内メーカーの海外での競争力が高まり、医療機器の輸出拡大につなげたい考えだ。

 民間企業でも創薬応用に向けた動きが加速してきた。武田薬品、第一三共などは、各社が実施するiPS細胞を用いた薬の安全性の評価試験結果を共有することにした。産学の連携組織を設立し、京大iPS細胞研究所や大阪大学などの専門家らが助言する。

 各社が膨大な数の化合物の中から新薬候補を絞り込むには時間やコストがかかる。一部のデータを共有すれば、その分、開発期間が短縮でき、コスト削減につながる。

 厚労省の審査委員会は6月下旬、理化学研究所などが申請していたiPS細胞を用いた目の難病治療の研究計画を承認した。早ければ14年夏にもiPS細胞を用いた国内で初の治療が始まる。さらに細胞の培養の委託先を医療機関だけでなく企業にも広げる法案が今秋の国会で成立し、医療機器メーカーなどが開発に参入する動きが相次ぐ見通しだ。

 

 再生医療が実用化に至った件数は12年末時点で欧州が20品目、韓国が14品目に達した一方、日本は2品目にとどまっている。一方、再生医療の世界市場規模は50年には38兆円に達するとの試算もある。

 

日経新聞 2013.7.11

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF1000R_Q3A710C1MM8000/