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ニュース: 日本、世界の医療市場に攻勢 最新鋭がん治療装置、三菱電機が仏で初受注へ


2013-06-21

安倍晋三政権の成長戦略の柱となる医療インフラ輸出。この「本命」とされる最新鋭がん治療装置の輸出がいよいよ始まる。三菱電機が近く、フランスの病院から副作用が少なく治療効果の大きい重粒子線装置を海外で初受注する見込み。受注総額は約200億円に上る。巨大市場が見込まれる最新鋭がん治療装置をめぐっては、東芝や日立製作所なども海外市場を視野に入れており、オールジャパンで世界の医療市場に攻勢をかける。

 「日本とフランスの企業の協力により、重粒子線がん治療施設をフランスに設立する動きがあることを歓迎する」

 安倍首相は今月7日、オランド仏大統領との会談でこう述べ、三菱電機の受注に向けトップセールスを展開した。

 重粒子線が強み

 

 三菱電機は仏アレバと共同で、同国リヨン市の病院に重粒子線装置を建設する方向で最終調整に入った。受注が決まれば、2020年にも治療が始まる見通しで、医療インフラ輸出に弾みがつく。

三菱電機の山西健一郎社長も「日本の独自技術として、がん治療装置の引き合いは強い」と輸出拡大に意欲を示す。

 がんを切らずに治す放射線治療はX線が一般的だが、重粒子線や陽子線はがん細胞に集中して照射でき、正常な細胞にも影響するX線より患者の体への負担が少ない。特に重粒子線はがん細胞の殺傷効果がX線の2~3倍と高く、治療期間を約6分の1まで短縮できるという。

 日本は独立行政法人の放射線医学総合研究所(放医研)を中心に1990年代から民間企業と重粒子線装置の開発を本格化。5月に安倍首相が視察した九州国際重粒子線がん治療センター(佐賀県)を含む4施設を三菱電機などが納入した。

 

 東芝も神奈川県立がんセンター(横浜市)で15年の治療開始を目指している。重粒子線装置は治療人数の実績で国内施設が9割を占めるなど、日本が独走している分野といえる。

陽子線でも、日立製作所が北海道大学と共同で、呼吸や脈で動く臓器のがん細胞に合わせて最適な瞬間に照射ができる次世代治療装置を開発し、14年に治療開始を予定するなど日本企業の動きが相次いでいる。

 政府の医療インフラ輸出では、日立メディコなどがイラク政府から超音波診断装置を受注。日本企業の技術力が高い画像診断や内視鏡など一部分野では成功しているが、受注額は数億円規模にとどまっていた。

 

 そのため「治療効果が高く、受注額も大きい最新鋭のがん治療装置は、医療輸出の本命」(政府関係者)と位置付ける。放射線がん治療装置の世界市場は年2500億~3000億円程度とみられるが、低価格のX線などが多くを占め、日本企業が手掛ける最新鋭装置の成長余地は大きい。

 コスト削減 課題に

 ただ、受注額が大きい半面、最新鋭機は重粒子線で1台約150億円、陽子線でも約50億円と高価で、本格普及にはコストダウンが求められる。また医療機器の開発は医師らの協力が不可欠な上、「輸出先でも人材育成などを含めた協力が必要で、民間企業1社だけでは難しい」(大手メーカー)とオールジャパンの態勢作りが課題となる。

 

 政府はフランスに続き、サウジアラビアやロシアなどでも最新鋭機の売り込みを加速する方針。東レ経営研究所の増田貴司チーフ・エコノミストは「医療機器の輸出には、機器や人材育成などをパッケージで売り込む必要がある。政府が本腰を入れて医療を成長産業化できるかが問われている」と話す。

主な放射線がん治療装置

 

sankeibiz 2013.6.21

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/130621/mca1306210801004-n1.htm